ご挨拶
織田有楽斎四百年遠忌に際し、特別展「大名茶人ー正伝永源院の寺宝ー」を開催させていただく運びとなりました。戦乱の世において数奇な運命に翻弄されながらも、現代まで伝えられてきた有楽斎の功績や遺構、想い、そして生き方を学ぶ中で、「逃げの有楽」と椰楡されてきたことに釈然としない想いを抱くようになりました。そこで、今までとは違う角度から有楽斎という人物を捉え直すべきだという強い想いが、本展の開催へと繋がりました。
有楽斎は、後世国宝となる名席「如庵」を創造し、茶の湯において客をもてなす道理を本意とし、型にとらわれすぎず、創意工夫するという理念に基づいて、茶の湯に没頭しました。禅寺での生活の中で茶人はじめ多くの武将らと茶の湯を通し交流していた有楽斎は、茶の湯に何を求め、そして、後世へと何を残そうとしたのでしょうか。この展覧会を通し、現代まで守り伝えられてきた有楽斎の想いを感じ取って頂ければ幸いです。
本展の開催にあたり、京都文化博物館様、サントリー美術館様、読売新聞社様はじめ多くの方々にご協力を頂きましたことを心より厚く御礼申し上げます。合掌。
正伝永源院 住職 真神啓仁